
タイトル : 敗者のゲーム (Winning the Loser’s Game)
著者 : Charles D. Ellis
翻訳 : 鹿毛 雄二
出版社 : 日経BP
発売日 : 2015年1月23日
オススメ度 : ★★★★★
どんな本か
この本の主張を超簡単に言うと、「インデックスファンドを長期で積み立てろ。アクティブ運用はやるな。」です。なぜアクティブ運用を避けるべきかということの解説に、敗者のゲームという用語が使われます。
まず、勝者のゲームとは、勝つために取った行動によって勝敗が決まるゲームを指します。対して敗者のゲームとは、ミスを犯した方が負け、逆にミスが少なければ勝てるようなゲーム、としています。
本書では、テニスプレイヤーを例に勝者のゲームと敗者のゲームを説明しています。プロの試合は勝者のゲーム、アマチュアの試合は敗者のゲームです。「プロは得点を勝ち取るのに対し、アマはミスによって得点を失う」とあります。プロは正確なショットによって勝利を得るが、アマチュアの試合は素晴らしいショットはあまり見られず、ボールがネットにかかったりラインの外にでることによって得点を失い、勝敗が決まります。
資産運用も敗者のゲームであると言います。今や株取引の出来高の90%が、証券会社や年金機構によるプロのファンドマネージャーによって取引されています。彼らがみな優秀であり、市場平均を上回ろうと努力するが故に、少しでもミスをしたら個々のマネージャーは自分たちの総体である市場 (インデックス) に勝つことができないのです。実際、ここ20年で80%のアクティブファンドがインデックスファンドに負けています。
個別銘柄やアクティブファンドを購入することは、圧倒的な知識と情報を持つ機関投資家を前に敗者のゲームに参加することと同じなので、やめるべきだと言っています。逆に、インデックスファンドを購入することはプロの機関投資家を結集したドリームチームを雇うことと同じで、長期的に高いリターンがでます。また、インデックスファンドのほうが手数料が安く運営コストも小さく済みます。
良い点
- 説明が細かく、論理的である
著者のチャールズ・エリスはハーバード・ビジネススクールでMBAを取り、ニューヨーク大学でPh.D.を取得しているそうです。「ウォール街のランダム・ウォーカー」の著者であるバートン・マルキールもそうですが、Ph.D. を持つようなプロの投資顧問の解説は、これでもかというくらい細かく、論理的です。 - 個人投資家へのアドバイスもある
人生を通した資産運用の心構えとして、401kや老後の生活、子供への贈与などに関するアドバイスが細かく記述されています。
残念な点
特にありません。説明が長いなと感じることがありましたが、多くの人を納得させるために長くなっているのであって、分かる部分は読み飛ばせばいいだけですね。
最後に
次のように考えることがあれば、読んでみるとよいと思います。
- 自分の投資計画が定まっていない
- インデックスファンドがおすすめと聞くがなぜか分からない
- アクティブファンドとインデックスファンドどちらが良いか悩む
- インデックスファンドを買っているが不安になってきた
と書きましたが、もし長期的な投資をしていて読んだことがなければ、もう四の五の言わず読んでください。