AWS を使った WordPress ブログの始め方 (2/2)

Amazon Lightsail x WordPress

この記事は前回Amazon Lightsail を使ったWordPressブログの始め方 (1/2)の続きになります。前回は、AWSのアカウントを作成しAmazon Lightsailというサービスを使うことでWordPressがインストールされたインスタンスを作成しました。

今回は、Amazon Route 53というサービスを利用し独自ドメインを取得します。取得したドメインと前回設定した静的IPアドレスを紐づけて、ドメインからWordPressのウェブサイトにアクセスできるようにします。

1. Route 53 でドメイン取得

Route 53 はAWSが提供するDNSサービスです。”53″という数字は、DNSプロトコルがデフォルトでUDPの53番ポートを使用することに由来するそうな。

Route 53 は公式ドキュメントで「100%利用可能(月間請求期間中のサービス使用者の DNS クエリに対して応答しないことがない状態)とするため商業的に合理的な努力をする」と謳っています。もしクエリに応答しないことがあれば、応答できなかった時間に応じてサービスクレジットが提供されるようです。要は払い戻しされるということですね。なんとも良心的なサービス!

さて、AWS マネジメントコンソールにアクセスし、Route 53 を検索します。

Route 53 のコンソール画面が表示されます。左側にあるメニューから「登録済みドメイン」→「ドメインの登録」と選択します。

ドメインの登録

ドメイン名の選択画面に移動したら、取得したいドメインを入力し使用可能か確認しましょう。

morishima.comは使用不可

入力欄の右側にあるプルダウンメニューで「.com」や「.net」などのトップレベルドメイン(TLD)を選択することができます。TLDによって年間料金が異なります。どのTLDを使用するかは自分がどんなウェブサイトを運営するかに応じてよく調べてから決めるとよいでしょう。もし一般的なブログなら「.com」「.net」「.jp」などのポピュラーなドメインをおすすめします。

図では試しに「morishima.com」を検索しましたが赤い×が付いており残念ながら使用不可のようです。「morishima」の部分かTLDを変更し、納得のいくドメインを探してください。

ドメインが決まったら「カートに入れる」を選択します。次はドメインの登録者として連絡先を入力しましょう。

ドメインのお問い合わせ詳細画面

続行を選択すると、下図のような購入確認画面に移動します。

連絡先の詳細画面

ドメインが期限切れで使えなくなると困るので、「ドメインを自動的に更新しますか?」の欄は「有効化」にチェックします。(デフォルトでなっているはず)

規約に同意して注文を完了します。購入してからシステムに登録が完了するまで3日ほどかかるようです。

登録済みドメイン画面

ドメインの登録が完了すると、登録したメールアドレス宛にメールが届きます。Route 53 管理画面にある登録済みドメインを見に行くと、取得したドメインが表示されると思います。

2. 取得したドメインとLightsailインスタンスの紐づけ

Lightsailインスタンスに設定したIPアドレスと取得したドメインを紐づける方法は、LightsailのDNSゾーンを使う方法と、Route 53 のホストゾーンを使う方法の2つがあります。(「DNSゾーン」と「ホストゾーン」はサービスの名称が違うだけで「ドメインが管理する範囲」という意味でほぼ同じだと思ってください。)

自分が初めて設定をしたときどちらを使えばいいかわからず混乱したので、ここでまとめておきます。結論から言うとLightsailのDNSゾーンを使う方法を推奨します。

LightsailのDNSゾーンは、Lightsailの料金プランに含まれるDNSサービスで、Route 53 と比べると機能や料金がライトです(DNSゾーン自体は無料、1 か月あたり 300 万 DNS クエリまで無料、そのあとは0.40 USD/100 万 DNS クエリの料金)。3つまでDNSゾーンを作ることができますが、サポートされていないDNSレコードのタイプもあるようです。DNSゾーンはユーザが意図的に作成しない限り作成されません。

一方Route 53 はLightsailのように仮想マシンを作成するのではなく、DNSの機能を提供することがメインのサービスです。料金はLightsailより少し高く、0.50USD ホストゾーンごと / 月 + 0.40USD 100 万クエリごと、となっています。ドメインを500まで管理でき、他にも機能が豊富なようです。Route 53 でドメインを取得すると、自動的にホストゾーンが1つ作成されます。

Lightsail DNSゾーンを使う方法:Lightsail DNSゾーンを作成すると、ネームサーバ(仮にNS-Aと呼ぶ)が登録されます。さてRoute 53 には自動でホストゾーンが作成されており、そこにも別なネームサーバ(仮にNS-Bと呼ぶ)が登録されています。Lightsail DNSゾーンを生かすには、ホストゾーンとNS-Bを削除し、NS-AをRoute 53 で取得したドメインのネームサーバとして新たに登録します。Lightsail DNSゾーンの料金のみかかり、ほぼ無料です。

ここに関しては公式のドキュメントがなく、システムを理解するのに時間がかかりました。だってデフォルトで作成されたホストゾーンとネームサーバを削除しちゃおうとはパッと思いつかないですよね・・・。ちょっと古い記事ですがAmazon Developer Forum に取り上げられていました。設計が分かりづらいとブーブー言われています(笑)[https://forums.aws.amazon.com/thread.jspa?threadID=259572]

Route 53 ホストゾーンを使う方法:こちらはLightsail DNSゾーンを作成せず、デフォルトで作成されたホストゾーンを利用します。ホストゾーンに「取得したドメイン:Lightsailインスタンスの静的IPアドレス」とするAレコードを追加して終わり。ホストゾーン+クエリの料金がかかります。

確かにRoute 53 ホストゾーンを使う方法はシンプルですが、ブログを運用する程度ならLightsail DNSゾーンの機能で十分だし、できるだけランニングコストは小さくしたいものです。Lightsail DNSゾーンの機能が不十分だと思ったらRoute 53 ホストゾーンを使うとよいでしょう。

ということで本記事では、Lightsail DNSゾーンを使ってドメインとLightsailインスタンスを紐づけます。(本ブログもこの方法で運用しています。)

さっそく作業を行いましょう。

Lightsailの管理画面から「ネットワーキング」→「DNSゾーンの作成」を選択します。

Amazon Lightsail DNSゾーンの作成

DNSゾーンの作成画面に遷移したら、Route 53 で取得したドメインを入力し、DNSゾーンの作成を完了します。

DNSゾーンの作成画面

DNSゾーンを作成したら、次はDNSレコードの設定を行います。

DNS Aレコードの追加

新しくAレコードを追加しましょう。サブドメインの部分は”@”を入力することで自ドメインを指すことができます(この場合はelasticforest.com)。解決先のIPアドレスは、WordPressインスタンスの静的IPアドレスを指定します。入力を終えたら、緑色のチェックマークをクリックしレコードを追加します。

最後に、Route 53 で取得したドメインのネームサーバをLightsail DNSゾーンのネームサーバに変更します。

まずRoute 53 のホストゾーンを削除します。

Route 53 ホストゾーンを削除

Route 53 のホストゾーン画面に行き、削除をクリックします。本当に削除するか聞かれるので「削除」と入力して実行します。(こんなもの作りたいときはいつでも作れるので大丈夫。)

次はネームサーバーを削除するため登録済みドメインの画面に行きます。

ネームサーバーの追加、編集
ネームサーバーの編集ウィンドウ

画面右側にある「ネームサーバーの追加/編集」をクリックし、出てくるサブウインドウ内の✖ボタンをクリックしてすべて削除します。

今度はここにLightsail DNSゾーンのネームサーバを登録します。ネームサーバはLightsail DNSゾーンの設定画面に書いてあります。

ネームサーバーをコピー

再びRoute 53 の「ネームサーバーの追加/編集」をクリックし、図に示してあるLightsail DNSゾーンのネームサーバをすべてコピー&ペーストして追加します。(図ではネームサーバの数は4つ)

以上でドメインとLightsailインスタンスを紐づけることができました!ネームサーバの変更が完了するとメールが届きます。数十分ほどかかるようなので、気長に待ちましょう。

ブラウザに自分のドメインを入力してWordPressのページが返ってくれば成功です。晴れて独自ドメインでブログを運営する準備が整いました。やったぜ。

さて、この後は自分の好みのWordPressテーマを探す、セキュリティ対策をする、必要なプラグインを入れるなど、完全にWordPressの世界に入っていくと思います。こちらはググると豊富に情報が出てくるので、彼らに譲ります。

まとめ

本記事では始めにRoute 53というAWSのDNSサービスを利用してドメインを取得しました。ここまでは簡単でしたが、厄介なことに取得したドメインとLightsailのWordPressインスタンスを結びつける方法は2つあることが分かりました。

Route 53 ホストゾーンを使用する方法は高機能ですが、Lightsail DNSゾーンを使用する方法と比べてコストがかかります。目的はブログを運用することなのでLightsail DNSゾーンで設定をしました。

前回と今回の記事を通して、Amazon Lightsailを用いて低コストにWordPressブログの運用を始めることができました。ここから先はWordPressの機能をあれこれ試していくことになるでしょう。

Lightsail×WordPressブログの船旅に幸あらんことを。読んでくださりありがとうございました。

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