効果的なレジュメ (英文履歴書) の書き方

この記事では、レジュメ(英文履歴書)を書いたことのない人向けに書き方を解説しようと思います。

私がレジュメを書く必要に迫られたのは大学4年生のころ。ネットワークエンジニアとして Cisco International Internship Program (CIIP)に応募するためでした。

レジュメなんて作った経験はありませんでしたが、

ただの履歴書だし、サクッと書けるだろう

と自分なりにググって書きあげました。

「よし」と意気込んでいざ応募しようと思ったところ、話を聞きつけた戦略コンサルで働く先輩がレジュメを見てあげると言ってくださいました。正直「そんなに気にするところあるのかな」と思っていましたが、実は相当書き方がなってなかった模様。そこから先輩と10往復くらい修正を重ね、80%以上中身が変わりました。(ほぼ原形なし)

完成したレジュメはCiscoのスクリーニングを通り、面接に進みました。結局、そこでのコーディングテストの結果が悪かったせいで落ちてしまいましたが、プロからレジュメの書き方をきちんと学ぶことができたと思います。

時は過ぎて就活をすることに。Ciscoに応募する際に学んだレジュメの書き方を徹底しながら、以下の5つのインターンシップと本選考に応募しました。(2019)

  • 日本マイクロソフト 技術職サマーインターンシップ
  • Google Japan 技術職インターンシップ
  • インテル株式会社 インターンシップ
  • ヴイエムウェア株式会社 テクニカルサポート本選考
  • シスコシステムズ合同会社 テクニカルサポート本選考

5つのうちレジュメの審査が通らなかったのはGoogle Japanのみでした。これだけ(数うちゃ当たれで)大御所に出して4/5が通ったということは、原因はレジュメの内容、私の実績であって、書き方ではなかったと確信を持っています。もし提出したレジュメが自分でググった知識だけで書いたものだったらほとんど落ちていたと思います。

多くの学生はレジュメなんて書いたことがないと思いますが、これから留学や海外企業への就職を考えている人は知っておくと非常に役立つでしょう。自分が先輩から得た貴重な知見を世に還元するためにこの記事を書こうと思います。

1. レジュメの体裁

レジュメとは一般に、英文で書かれた履歴書で、応募する組織に対して自分は有益であるということを伝えます。自分の経歴をまとめて

”私はあなたの会社にマッチするこんなすごい人間なんです!”

とアピールします。フォーマットは決まっておらず、応募する業種によって体裁が若干異なるようです。自分の場合はとてもオーソドックスなレジュメを作成したので、多くの方の参考になると思っています。

私がCIIPに応募したときのレジュメと、2020年8月現在持っているレジュメを見ながら、体裁について説明します。

CIIP resume
図1.CIIPに応募したときのレジュメ
2020年時点のresume
図2.2020年8月現在持っているレジュメ

枚数はA4 1–2枚

サイズはA4。2枚に渡ることもありますが、1枚にまとめるのが一般的です。(大学4年生の自分には、1枚を埋めるだけでも大変でした。)

白黒で、シンプルに

resume example” でググるとカラフルなものが目を引くし、自分のレジュメにも青色があります。しかし重要なのは内容であって、色に意味を持たせるべきではありません。自分は最初に書いたものが青色だったので青が残っていますが、白黒でよい場合がほとんど。入れても一色だけにしましょう。図やグラフを入れることもまずないと思います。(見たことはない)

ヘッダには名前、連絡先、Summary

レジュメの上部には自分の名前と連絡先を記載します。メールアドレスはgmailなどの一般的なアドレスではなく、できるだけ大学や研究機関、会社のメールアドレスを記載しましょう。ドメインですぐにどこの所属か分かってもらえるからです。GitHubや自分のウェブサイトがあるなら載せておきましょう。Summaryは必須ではありませんが、相手に自分の強い意思をアピールしたい場合に書きます。自分の場合は図1の “I am a highly motivated …” から始まる文章がSummaryです。

セクションに分ける

自分の経歴を学歴、職歴、学生団体などの項目に分類します。どういうセクションに分けるかは決まっていませんが、一般的に以下のような分け方があります。

  • Education: 学士、修士、博士をどこで取得したか、何を専攻したか
  • Research Experience: 大学でどのような研究を行ったか
  • Publications: どのような論文を書いたか
  • Awards & Scholarship: 受賞した経験、奨学金(給付)
  • Campus Activities: 学生団体やボランティア活動で達成したこと
  • Work Experience:  どのような職業に就き、何を達成したか
  • Projects: 学外のプロジェクトで何を達成したか
  • Skills: 自分が持つスキル、何ができるか、保有資格

細かく分けすぎて、各セクションのボリュームが少なくてスカスカに見えるのはよくありません。自分の場合、CIIPに応募した時点では獲得した奨学金は1つしかなかったため、Scholarshipというセクションを作らずにEducationに含めました。

Bullet lists (箇条書き)で書く

Bullet, Bullet points, Bullet lists とは、箇条書きのことです。レジュメでは基本すべて箇条書きで自分の実績を記述します。箇条書きは文章ではないため、文末に”.”ピリオドがつかないことに注意しましょう。

2. コンテンツの書き方

ここからレジュメの内容をどのように書けばいいのかを解説します。実はどのセクションでも書き方は同じ!共通するコツをつかもう。

図2に示すレジュメからWork Experienceを抜粋しました。コンテンツは、見出し(青色)と実績(橙色)で構成されます。見出しには自分が所属していた学校や企業,団体を記述し、実績の欄には自分がその組織内で貢献したことや成し遂げたことを箇条書きで書きます。

また、自分で書いて思いましたがコンテンツの内容を売り上げを上げた、プロジェクトを成功させた、などの堅い内容だけで埋めるとひたすら成果を求めるロボットのように見え、学生らしさや個性がなくなってしまいます。課外活動やスキルなども記述すると「この人は幅広くやってるんだな」と感じてもらえ、他人との差別化&人間味を出すことができます。

では、見出しの書き方から詳しく見ていきましょう。

図3.コンテンツは見出しと実績に分かれる

2.1. 見出しに必要な情報は?

見出しにはWhat, Where, Whenの情報を入れ、どの期間、どこで、何をしていたかを分かるようにします。図3の見出しをWhat, Where, When の3つに分解するとWhatは“Intel, Application Engineer, Technical Support”に、Whereは“Tokyo, Japan”に、Whenは“Aug 2019 – Current”に対応します。それぞれ順番に書き方を見ていきます。

What

所属する大学、研究室、企業、参加したプロジェクト名などを書きます。その際、カンマ区切り ( , )、ハイフン区切り (-)、パイプ区切り ( | ) を使って役職を記述するとより正確な情報が伝わるでしょう(し、かっこいい)。例えば以下のような記述が考えられます。

  • Keio University, B.S. in mechanical engineering
  • XXX Game Summit – Application Developer
  • YYY Research Institute | Internship in sales and marketing department
When

活動していた期間を、始まりと終わりの年月をハイフン区切りで記載します。例えば2019年4月から2020年3月を示す場合、以下のような書き方が考えられます。余白やフォーマットに合わせて好きなものを選びましょう。

  • April 2019 – March 2020
  • Apr 2019 – Mar 2020
  • 2019-04 – 2020-03
  • 04/2019 – 03/2020
  • 04/19 – 03/20
Where

活動場所の書き方は色々あると思いますが、 ”City, Country” と都市と国の情報を記載します。もし都市より細かい場所の情報が必要なら入れましょう。JapanはJP、アメリカはUS、などと略して書いても問題ありません。

見出しは「場所」や「期間」など、書く内容がすでに決まっているからそんなに苦労せずに書けるはず。実際に書くのに頭を悩ませるのは次に解説する実績の部分です。

2.2. 実績はどう記述する?

実績はその人の能力を測るという意味で、レジュメの中で最も重要な部分です。書くときは次の3つのことに気を付けましょう。

  1. アクション・行動を示す動詞スタート(絶対ではない)
  2. やったことではなく達成したことを
  3. できるだけ客観的に
1. アクション・行動を示す動詞スタート

企業や業種によりますが、採用側の人は短時間に大量のレジュメを審査しなければなりません。後ろまで全部読まなくては達成したことが伝わらないような文章は印象が悪く、ろくに読んでもらえない可能性があります。したがって、自分が達成したことを1つの動詞だけでできるだけ正確に表現することを心がけ、この動詞の意味に重きを置くとスマートに書けます。

図4.実績は動詞の過去形で書き始めよう

上の図に示されるレジュメの切り抜きでは、Contributed, Created, Developedなどの動詞から箇条書きがスタートしています。Make, Get, Takeなどの汎用的な動詞は正確な動作を表現することが難しいので避けましょう。また、1度使った動詞は使わないほうが無難です。例をいくつか考えてみました。

  • 何かを作成した: Created, Established, Built, Implemented, Developed
  • 何かを向上させた: Improved, Increased, Enhanced, Expanded
  • 何かを変えた: Modified, Restructured, Customized, Converted
  • 何かを研究した: Evaluated, Investigated, Discovered, Qualified

上手い動詞が思い浮かばないときは “resume verb list” などとググると動詞がたくさん出てくるので、イカした単語をピックしよう!

2. やったことではなく達成したこと

自分は初めてレジュメを書いたとき

  • Worked at volunteer group of international …
  • Managed members in Slack …
  • Used C language and calculated statistics …

という調子で文書を埋めていました。しかしこれを読んだ人は

  • 「ボランティア活動で何をしたのか?行っただけ?」
  • 「Slackでメンバーを管理してってあるけど、何をしたのか?」
  • 「Cで作ったそのstatisticsは何か役に立ったのか?」

という疑問が浮かびます。ボランティア活動に参加することは誰にでもできることだから、採用担当はこの人を優先して採用する理由がないのです。多少こじつけでも自分なりに成し遂げたことを記述しなければなりません。

  • Rationalized inventory of a gift shop by analyzing revenue trend
  • Optimized workflow by clustering the team into smaller groups in order to implement various initiatives with agility
  • Adjusted working time effectively by collecting statistical data and analyzing customer behavior

このように書くと何を達成したのかがよく分かり、強いレジュメになります。

3. できるだけ客観的に

さらに説得力を上げるために、数字を入れて客観的な指標で評価します。例えば

  • Increased sales in a marketing department
  • Improved productivity, saving an additional budget

と売り上げや生産性を向上させた実績を書いた場合、”どれくらい?” という情報も入れたほうがよいでしょう。そうでないと Increased sales がすごいことなのかどうか、判断できないからです。

  • Increased sales from $2 million to $3 million in a one-year period
  • Improved productivity by 10%, saving an additional $10,000

と書くと、「1年で売り上げをこれだけ上げたんだ。」「予算をこれだけ抑えながら生産性を10%も上げることができたんだ。」とより客観的に実績が伝わります。GPA、成績の順位、TOEFLの点数、プログラミングコンテストの順位、集客率を何%向上させたかなど数字で示せるものはできるだけ数字で訴えましょう。

3. どうやってレジュメを作るか

ここまで、レジュメの書き方について解説をしてきました。この章ではレジュメをどのアプリケーションで作成するか、ということに触れようと思います。

レジュメは基本PDFで持っておくものだと思います。私はWordとLaTeXを試しました。(多くの方がこの2つのどちらかになるのではないかと思います。)LaTexは Overleaf (https://www.overleaf.com/) というオンラインLaTeXエディターを使ってみました。ローカルに環境を持つ必要がない上、テンプレが豊富で、バージョン管理もしてくれます。自分は結局、Overleafに落ち着いています。

3.1. Word と Overleaf の比較

Word

  • Good: LaTeXと異なり、目で見て編集してるもの=出来上がるものなので分かりやすい
  • Bad: バージョン管理が大変
  • Bad: 余白やインデント、表示位置などを細かく調整するのは難しい

Overleaf

  • Good: ブラウザなのでOSに依存しない。やらないけどスマホからでも編集できる。
  • Good: 有料だがGitと連携できるのでバージョン管理がしやすい
  • Good: 他人との共有、共同編集が簡単
  • Bad(というより自己投資?): LaTeXの記述の仕方を多少覚える必要がある。でも難しくはない。

確かにWordは取っ付きやすく、すぐにある程度作成することができます。しかし、バージョンの管理や細かな体裁の変更に難しさを感じ、Overleafに移行しました。LaTeXの記述を少し学習する必要がありましたが、それ以上にOS非依存、バージョン管理の容易さ、論文などのレジュメ以外の文書も管理できるようになったこと、共同編集等の恩恵が大きいと感じます。もしすぐにレジュメを作成したいならWordを、LaTeX経験があるorないけど今後文書管理で楽をしたいならOverleafをおすすめします。

3.2. テンプレートをもとに作成する

WordとOverleafどちらを選んでも、1から作るのは非常に時間がかかるのでテンプレートから作成するのがオススメです。気になるところだけ自分好みに変更しましょう。

Word
resume template word” と検索するとフリーのテンプレートがたくさん見つかります。その中からできるだけシンプル、クリーンなものを選びましょう。

LaTeX
Wordと同様、“resume template latex” と検索するとフリーのテンプレートがたくさん見つかります。Wordに比べてLaTeXのほうがシンプルなテンプレートがたくさんヒットする気がします。図2で示した私のレジュメのテンプレートは下記のものです。
https://github.com/zachscrivena/simple-resume-cv

まとめ

この記事では自分の経験を元にレジュメの書き方を解説しました。特に実績の書き方が重要です。実績は

  1. アクション・行動を示す動詞から始まる箇条書きで
  2. やったことではなく達成したことを
  3. できるだけ客観的に

書くとより効果的に伝わります。「やったことではなく達成したことをできるだけ客観的に」という考え方はたとえ日本語の履歴書でも重要だと思います。

過去の自分のようにレジュメの書き方で悩んでいる人の助けになったら嬉しいです。

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