
2016年2月1日~3日に初めての本格的な厳冬期登山として八ヶ岳連峰の最高峰である赤岳に挑戦しました。過酷な環境や冬山装備について色々分かったことがあるので書き留めておこうと思います。写真少なくてごめんね。
Contents
1日目|美濃戸口-行者小屋
美濃戸口(1,480m)から南沢ルートで行者小屋まで歩きました。夏は赤岳山荘(美濃戸山荘のすぐ手前)まで車で行けるみたい。美濃戸口-美濃戸山荘間の林道はつるっつるに凍ったスケートリンクみたいでした。アイゼンがないと生まれたての小鹿状態になってほとんど歩けません。
美濃戸山荘(1,716m)を超えるといよいよ雪が深くなっていきます。この日は天気が良くて気持ちがよかった。

美濃戸山荘から2時間ほど歩くと行者小屋(2,350m)に到着。大した勾配ではなかったはずですが、雪のせいかかなり疲れていました。明日は赤岳に登るからしっかり休まなきゃ。

さて今日はこんな雪が深いところでテント伯をするのです。北沢コースにある赤岳鉱泉の宿は快適らしいうえ夕食には国産牛のステーキが出るというのになあ。
テントが風に煽られるのは困るので木の近くに雪の壁を作ってその中に立てます。以前涸沢で定着用のテントが飛ばされているのを見たので防風対策はしっかりやったほうがよいのでしょう。他の登山客も数グループいたようでした。

夕食はみんなが持ってきた食材とキムチ鍋の元と米をぶち込んでゲロみたいな鍋を作りました。見た目はアレだけど、味は良かった。
調理にはSOTOのMUKAストーブを使用しました。着火しやすく極寒でも高火力で信頼性があります。
美味しかったのですが食べきれなかったので次の日の朝食にします。蓋をしてテントの外に置いておきました。

2日目|行者小屋-赤岳 ピストン
朝起きて昨晩の鍋を見たら、雪が入っていて中が真っ白でした(Wow !)。まあ、このまま火にかければちょうど水分が補給されていい感じなるだろうということで雪ごと鍋を火にかけて食べました。いや味は良かったんですよ、ええ。
今日は地蔵尾根を登って赤岳に挑戦します。ピッケルやアイゼンを確認していざ登山開始!
しかし、ちょっと登ったところでひどい腹痛に襲われました。朝食べた雪混じりのキムチ鍋のせいかな?(違いない)
どうにも我慢できるレベルではなかったのでトイレットペーパーを持って道を外れたところまで行って用を足しました。白銀の世界でするのはすごい開放感というか、不思議な気持ちでした・・・。重要なのはそこじゃなくて、トイレットペーパーは絶対に持たないといけないということです。なかったら絶望するしかありません。
地蔵尾根の勾配がきつくなってきたところで、かなり吹雪いてきました。この時点で気温が低すぎて自分のスマホは起動せず、写真を撮ることができませんでした。頼むよ~iPhone君。カイロか何かで温めれば起動したんでしょうけど。
さらにここで足先がキンキンに冷え切っていることに気づきました。感覚もなくなりそうな感じ。自分が履いていた靴はモンベルのアルパインクルーザー2800です。公式サイトには「厳冬期の登山に対応する保温性を備え」と書いてあるし、これ以上高いモデルを買ったからと言ってそんなに変わるとは思えないし、どうすればよかったんだ・・・。メンバーも同様だったので、そういうものかと思い、さっさと登ってさっさと下ることに。
残念なことに地蔵ノ頭(2716m)に到着し稜線に出ても風は止まず、暴風かつ-15℃という極寒で前方5mくらいしか見えませんでした。おそらく飲み水を保温容器に入れずに持って行った場合ザックの中で凍っているでしょう。あまりに風が強くて寒いので立ち止まって着替えたり休憩することは難しかったと思います。この時点で阿弥陀岳に行くことは断念しました。
前がほとんど見えない中必死に歩いていると山頂の標識らしきものが!ここが山頂か!

なんも見えねー!
でも山頂にたどり着けて良かった・・・。ずっと暴風の中歩いてきたから達成感がありました。メンバーのスマホは生きていたので写真を撮ってすぐ下山することにしました。
幸い地蔵尾根を下るころになると風は止んでおり、空は曇っていましたが諏訪湖が見えました。こんなところまで登って来たんだなあと感慨にふけっていたのを覚えています。

特に危険な場所もなく、真冬の雪景色を楽しみながら行者小屋まで帰ることができました。
3日目に阿弥陀岳に登ることも考えましたが、寒くて行く気が起きないし、温泉に入りたいし、赤岳には登頂したし、温泉に入らなければいけないということで3日目は足早に下山することに。
下界での温泉はまさに至福の時でした。
反省|知っていたらよかったこと
足先の保温を考える
高いモデルではないとはいえ厳冬期登山用の靴を履き、厚手のウール靴下を使用していましたが、足先の感覚がなくなるほど冷えました。すぐに下山したから何ともありませんでしたが、毎回こうなると辛い。解消する手段をググってみましたが、残念ながらこれといった方法はない様子。

自分がいいかもと思ったのはホットクリームという手足に塗って血行を促進させる商品です。八ヶ岳で使用したというレビューもあり、凍傷になる危険を負うくらいならつけてみて良さそうです。
あとは靴の中でこまめに指を動かす、足首に隙間ができないようにスパッツを付ける、こまめに温かい飲み物を飲む、くらいでしょうか。自分は気付いたら足先が冷え切っていましたが、「足先が冷えないように」と考えて登っていれば何とかなりそうな気がします。
ゴーグルとネックウォーマーによる凍傷の危険
今回自分はネックウォーマーとゴーグルをつけていました。ネックウォーマーのおかげで口元は温かいし、ゴーグルがあるので吹雪いていても目を開けていられました。
しかし、呼気がネックウォーマーの中から上に出ていく際にゴーグル縁のスポンジ部分にあたり、それが凍ってほっぺたが軽い凍傷になっていました。赤岳から下ってテントに到着したときに友人に言われて見てみたら1円玉くらいの面積でしょうか、頬骨のあたりが紫色になっていたのです。

触っても痛みはなく、言われなければ気付きもしませんでした。2週間ほどで凍傷は治りましたが、気を付けないと一生残る傷になりかねません。
こまめに確認するか、呼気がゴーグルにかかりすぎないようにしたほうが良さそうです。
極寒でもスマホを快適に使えるようにする
地蔵尾根を登っていた段階で自分が持っていたiPhone君は起動しなくなりました。これは自分がスマホを一番外側のポケットに入れていたため温度が低くなりすぎたからです。(中のバッテリーが中華製だったからかもしれない。)インナーウェアのポケットに入れて体温で温めておけば問題ないでしょう。あとはバッテリーも持っていると安心かな。
これでそもそもスマホが起動しない問題は解決しますが、山頂で思ったことはスマホをタッチするためにグローブを外すのがつらいということです。インナーグローブを付けていないとスキー用のグローブでも凍えてしまうような寒さで素手を出すのはとても嫌・・・。感圧式のタッチパネルならいいんだけど。

対策は数百円のものでいいのでタッチペンを持っていくことです。これならグローブを付けていても操作できます。強風でタッチペンが飛ばされる可能性があるので、ストラップでスマホと繋げておくのが良いでしょう。
まとめ
厳冬期の八ヶ岳は厳しい寒さが待ち構えていましたが、何より達成感がありました。天気が晴れていればもっと景色を楽しめたでしょうが、学んだことも多かったので次に期待します。
雪山登山の参考になれば幸いです。